小児の鼻出血の原因は、大部分が鼻いじりや鼻こすりでの物理的損傷です。

さらにアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による炎症でも鼻出血を起こします。

95％以上が鼻の入り口から約1cmの鼻中隔の前下方にあるキーゼルバッハ部位からの出血です。

止血の方法は、このキーゼルバッハ部位を圧迫することです。

具体的には親指と人差し指で小鼻をしっかりつまんで左右から鼻中隔を挟み込むように圧迫します。

10分程圧迫すると鼻出血は止まります。

この時、子供は座らせて軽くうつむいた姿勢にし、口の方へ流れ込んだ血液は飲み込まないように洗面器等に吐き出させて下さい。

それでも止まらない場合には耳鼻咽喉科を受診して下さい。

鼻が冷気にさらされると鼻がつまりますが、これは生理的現象で病的ではありません。

鼻が冷たい空気にさらされると鼻の粘膜が腫脹し、鼻腔を狭くし空気の通りを悪くすることで鼻閉を起こします。これは鼻が熱交換器の役割をしているからです。

すなわち急激に肺に冷たい空気がいかないように鼻の中で充分に加温加湿され胸腔内気道に悪影響を起こさないようにしています。

吸気時与えられた熱は呼気時に回収することが出来ます。ですので鼻閉は鼻で呼吸することで改善します。

また局所のステロイド薬投与によっても軽減しますし暖かい環境に戻れば解消します。

鼻洗浄は本来鼻副鼻腔の手術を受けられた方が術後の短期間に医師の指導の下で行う治療法です。

当院では行っておりません。

家庭で行う場合には必ず生理食塩水を使用してください。

温めた水1Lに食塩9gを溶かして作って下さい。

2020年のヨーロッパでの副鼻腔炎治療ガイドラインにおいて副鼻腔炎の補助的治療として強くはないものの推奨されています。

洗浄する回数や間隔、効果についてのエビデンスはまだ充分ではありません。

頭蓋骨の中には鼻腔を取り囲むようにいくつかの空洞があります。

額の所にある前頭洞、目の間にある篩骨洞、頬にある上顎洞、鼻の奥で頭蓋骨の真ん中にある蝶形骨洞が各々左右にあり全て鼻腔とつながっています。

これらを総称して副鼻腔と呼んでいます。

鼻腔におきた炎症が副鼻腔まで波及した場合に副鼻腔炎と言い、膿が溜まることが多いので蓄膿症ともいわれています。

急性副鼻腔炎の症状は鼻風邪の症状に加え額、頬、眼、上顎歯の痛みがでることがあります。

黄色い鼻汁が出たり、鼻がつまります。

慢性副鼻腔炎ではさらに粘度の高い鼻汁がでたり、ひどい鼻づまり、頭重感、嗅覚障害がでます。

鼻の中に鼻茸というブヨブヨの粘膜のかたまりができて手術が必要になることがあります。