耳垢は外耳道軟骨部のみから作られます。軟骨部皮膚の皮脂腺からの分泌物に脱落した表皮細胞や耳毛が混ざったものです。耳垢にはべとべとした湿性耳垢とカサカサした乾性耳垢があります。
遺伝的にアフリカ、ヨーロッパでは湿性耳垢が多く、東アジアでは乾性耳垢が多いが、どちらも病気ではありません。外耳道には線毛があり、それらが耳垢を外へと運び出してくれます。
このため耳掃除の基本は外まで運ばれた肉眼で見える耳垢をとるだけです。奥にある耳垢は無理に取らずに耳鼻咽喉科を受診して下さい。
耳かきをすると咳が出る人がいます。これは耳介に分布している迷走神経の末端(アーノルド神経)による迷走神経反射です。この反射は日本人の2~3%にみられ病気ではありません。
外界と中耳腔との圧が同じでなくなる時に耳閉感や耳痛などの耳症状を起こすことがあります。
この耳症状の発症には、中耳から鼻咽腔に繋がる耳管が重要な役割を果たしています。
耳管は普段は鼻咽腔近くで軽く閉鎖していますが、唖下やあくびで開きます。
また、鼻をつまんで呼気で鼻咽腔圧を高めると同じく耳管は開きます(バルサルバ法)。
開けば外界と中耳腔との圧が同じになるので耳症状は改善します。
一日たっても症状が取れない場合は耳鼻咽喉科を受診して下さい。
耳管が原因ではなく、耳垢栓塞や内耳疾患の突発性難聴、低音障害型感音難聴が隠れている場合があります。
水中に10m潜ると1気圧の圧力がかかります。
すなわち、1cm2に約1kgの重りがのっている事と同じです。鼓膜は強く陥凹し激しい痛みを感じます。
この状態をスクイズと言い、長い間続くと中耳に血液や滲出液が溜まり中耳炎になったり、内耳障害から激しいめまいや難聴、耳鳴をおこし上下感覚の喪失から致命的な潜水事故をおこす場合もあります。
これを防ぐには鼻をつまんでいきみ鼻咽腔圧を高め鼻と中耳の通り道である耳管を開く、いわゆる耳抜き(バルサルバ法)を頻回に行いながら潜水をする必要があります。
耳管が開けば外界と中耳腔との圧が同じになるので耳症状は改善します。
ところが風邪をひいていたり、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気があったり、潜水前の飲酒後などの場合、鼻や耳管の粘膜が腫れて耳抜きがうまくできない場合があります。
また過労や睡眠不足など体調不良の時も耳抜きはうまくできません。
ですから、スキューバダイビングで耳の病気にならないためには、
実はスクイズはだましだましゆっくりと耳抜きすれば強引に潜ることができてしまいます。
鼻や耳管の粘膜が風邪などで普段よりも腫れていたにも関わらず無理に耳抜きして潜ったとします。
潜るときはなんとか抜けることはあります。浮上する時には周囲の圧力は下がります。
正常の場合には高くなった中耳の圧は耳管から自然と抜けていきます。
ところが無理に耳抜きしたことにより悪化した耳管の粘膜の腫れのため中耳から空気が抜けず、浮上すればするほど耳が痛くなってしまうことがあります。
これをリバースブロックといいます。リバースブロックの恐ろしい点は、スクイズはどうしてもダメなら浮上すれば良いのですが、リバースブロックは再び深く潜らなければ症状は改善しません。
いずれはエア切れをおこしてしまいます。リバースブロックを起こさないためにも無理なダイビングはしないで下さい。
スクイズもリバーブロックも副鼻腔や治療不完全の虫歯でもおこることがあります。